PA機器の操作で心得ておくこと〜ハウリング対策まで

当社が提供しているPA100名セットやPA150名セットなどの「簡単PAセット」は、初めて音響機器を扱う人でも少し説明を受ければすぐに操作することができます。
 そうは言ってもできるならより快適に使いたいと思われるでしょう。またうっかり触って機器を破損したら…と心配される人もおられることと思います。最低限これだけ知っておけば大丈夫だと思われることを以下に書いてみました。しっかり押さえて思う存分楽しんで下さい。
 なお、当社の「簡単PAセット」は基本的にボックス型パワードミキサーを使用していますので、それを前提にかつ素人さん向けに記していることをご承知置き下さい。

 

矢印スイッチのON、OFFにも順番がある!
 これはスピーカーからのノイズやボンという破裂音を防ぐと同時にスピーカーを破損から守るための大切な手順です。必ず守ってほしいものです
 キーボードやCDプレーヤーなどの外部機器の電源を全てオンにして、その後にミキサーの電源を入れます。電源を切る場合はその逆、パワードミキサー⇒外部機器の順に切ります。(もちろん入れる時も切る時も全てのボリュームはゼロしておくのは常識ですよね)
 モニターとしてさらにパワードスピーカーを使っている場合外部機器⇒ミキサー⇒パワードスピーカーの順に電源オン。切る時はその逆の順という寸法です。

 

初心者マークを持つ女の子

なんか面倒だからセッティングされた(当社では直ぐに使える状態にまでセッティングしてお渡ししています)ままにして置いて、終わった後も電源オンのまま回収を待ってればいいさ・・・なんてお考えの人もおられるかもしれません。絶対ダメだという分けではないですが、オンのままだとマイクが色んな音を拾って耳障りな雑音を出したりますし、第一、使用する前も使用後も相当程度の時間がある場合には機器保護のためにはあまりいいことではありません。使用しないときは電源を切るか、最低でもボリュームをゼロにしておくことが必要です。

 

 

ボリューム(音量)調整の方法
 ボリュームには個々の「チャンネルボリューム」と全体を制御する「マスターボリューム」の2つがあります。両方ともつまみ(ノブ)で、スライダー(フェーダー)ではありません。「ゲイン」つまみがありませんので比較的やり方は簡単です。
 まず右側にあるMAIN部のマスター(MASTER)コントロールつまみを12時(真上)に合わせます。▼マークが15時方向にある機種ならそこに合わせるのが普通ですが、狭い会場も多く大きな音に感じるケースもありますので当社では12時に合わせるのを推奨しています。次にマイク等を接続している左側のチャンネルのレベル(LEVEL)コントロールつまみを、声を(大き目に)出しながら右に回して行きます。右側メイン部のピークレベルインジケーター(赤緑の小さなランプ)の赤が時々点灯する位置まで調整したらOKです。これを接続している全てのチャンネルで繰り返します。
 そうして全体音です。マスターコントロールで調整して行きますが、バンド演奏をしながらボーカルが良く聴き取れるようにします。ここら辺はお好みなのですが、、、。▼を超えて回すと音が割れる可能性がありますので注意です。その上で個々のチャンネルのLEVELつまみで細かい調整をしても大丈夫ですが、赤ランプが点灯し放しにならないようにして下さい。ハウリングを起こす可能性が出て来ます。
 こうのように丁寧に手順を踏むことで気持ちのいい音作りが出来るのですね。


矢印どうしてハウリングを起こすの?〜その基本対策は?
 ハウリングはスピーカーから出た音をマイクが拾うことによって発生します。マイクに入力された音をアンプが増幅してスピーカーから出す。その増幅し出された音をまた拾ってさらに増幅した音をまた拾ってってことを繰り返して、ピー(高音域)とかボー(低音域)とか不快なハウリング音が発生するのですね。

 

ハウリングを起こさないための5か条

    机でメモする猫のイラスト

  1. マイクとスピーカー間の距離をなるべく離すー
    スピーカーからの音をマイクが拾うことによってハウリングが発生する分けですから、まずはスピーカーからの音を拾いにくい距離まで離すようにします。マイクを持ってスピーカーに顔を近づけるような行為は絶対禁物です。そうは言っても狭い会場だからどうしてもスピーカーが近くなるとか、フロアモニターが足元に設置されている場合も多いですね。そういう時は…
  2.  

  3. マイクをスピーカーに向けないー
    マイクには単一指向性というのですが、音を拾う範囲、角度があります。定番のSM58ではおおよそ130°で正面のグリル(網目の金属カバー)側で多く拾い反対の軸側では拾わない構造になっています。なのでフロアモニターには必ず軸側を向けておき、お腹や腰元にマイクを持って行かないことが肝要です。一つのパフォーマンスなのでしょうけどPA現場で見ていますとハラハラします。また両サイドにスタンドしてあるメインスピーカーより前に出ないようにすることも大事です。狭小スペースで前に位置するしかないケースでは常に口元にマイクを持っていき、なるべく左右に顔を振らないように心がけて下さい。
  4. とにかくマイクをスピーカー方向に向けないことが鉄則です。

     

  5. 唇をくっつけるように歌うー
    前項でも触れましたが、マイクと唇の間に指一本が入るくらいまで近づけることで歌い手さんの頭部でスピーカーからの音がマイクに流れる道筋を遮断することがかなりできるのですね。結構有効な対策ですよ。声が拾いやすくなるのでマイクボリュームを大きく上げなくて済むのも効果大です。
  6.  

  7. グリル(金属網目)を握らないー
    マイクの持ち方は人さまざまで決まりはありませんが、グリル部分を持つのはお勧めできません。人差し指と親指で輪っかを作って持ったり、親指を引っかけてみたりと格好良いのは多少は認めますが、音も曇るし、ココのテーマであるハウリングもしやすくなります!詳しくは述べませんが、ハウリングし易い周波数を強調するようになるのです。
  8.  

  9. エフェクトを強くかけ過ぎないー
    リバーブやディレイはボーカルには必須とも言えるエフェクトですが、強くかけるとこれもハウリングの原因になります。特にロックなど演っている時は大音量になりがちなので特に禁物です。

 

以上5つの心得というか気を付ける点を書きましたが、現場で実践していただければ100%でないですがかなりの確率でハウリングを防ぐことができます。覚えておきましょう。

 

演奏中、突然ハウリだしたらどうする?

 

歌唱中にハウリングを起こした

ハウる時は、ピー ピ〜 ピ〜〜〜という具合に最初小さくピーと鳴ったと思ったら、あっという間に会場全体に大きく響き渡るようになるケースが多いようです。
 ではどうするかと言いますと皆さんでできる方法は2つです。すぐさま立ち位置を変え(マイクを移動する)、メインスピーカーやフロアモニターからの音を拾わない(と思われる)所にとにかく動くことです。2つ目はボリュームを下げる方法。マスターボリュームやモニターボリュームを下げれば間違いなくハウリングは収まります。ですが下げすぎてしまうと肝心の声が聞こえなくなりますので、また少しづつ上げて行きピッとなる直前で止めます。マイクが入力されているチャンネルボリュームも少し下げておくのがいいでしょう。さらに、機材の位置や向きを変えてみることもします。演奏を台無しにしないためにも以上の一連の行動をできる限り素早く行うようにしなければいけません。

 

プロフェッショナルな現場では
グラフィックイコライザーの調整で防ぐ
 ハウリングを起こしている周波数帯を探してイコライザーでその部分をカットする方法です。しかしこれは経験を積んだ熟練のエンジニア(オペレーター)でないと中々難しいものです。直感でそのハウリングポイント的確に察知するのは困難で、だからと言って近辺の周波数帯を全部カットする(レベルを下げる)ようなことをしたら全体の音質や音量を損なってしまいます。
 なのでリハーサルの段階でわざとハウリングを起こし、前もってその周波数帯をカットしておくと言った対策をします。

 

フイードバックサプレッサーを使う
 上記の操作を自動的に行ってくれる機器があります。それがフィードバック(ハウリング)サプレッサーと呼ばれる機器です。デジタル技術によってハウリングポイントを瞬時に検知し抑制する機能です。突発的なハウリングにも音質を損ねることなく対処できますのでかなり便利な機器です。デジタルミキサーではこの機能を搭載した機種も多くラインアップされています。
 だからと言ってこれらをお使いになると、システムも少し複雑になりますしレンタル料金も別途発生しますので考えモノかもしれませんね。でもご安心下さい。当社の「PA100名セット」は何かと狭い会場で使用する場合が多いことを考慮して、なんとミキサー本体にフィードバックサプレッサーが搭載されたYAMAHAのEMX2という機種を使用しています。「簡単PAセット」は非常に格安な料金で、音響機器の扱いに不慣れな方でも安心して豊かな音量を得ることができます。


矢印イコライザーは使った方がいい?
 一般的にはイコライザーでの音質調整は最小限にした方が良いと言われています。生の音を自然な形で再現してあげるのがPAの本来の目的だからです。特にブーストする場合は意図に反して、結果音を濁らせることになりかねませんので慎重にするべきです。ほんの少し1〜2メモリ程度でいいでしょう。ある音域を(または他のパートに比べて)際立たせたい場合、他の音域(他のパート)を少しカットする方法を選びましょう。よりクリアーな音が得られるはずです。
 当社の「簡単PAセット」をレンタルされる皆さんはおそらく、イコライジングされるとすればボーカルだと思います。ボーカルにより存在感を与えたいと思うときは中音域を少しブーストさせてみるといいかもしれません。活き活きとしたクリアーな音質にしたいと思うなら高音域を少しブーストでしょうか。より気を使うべきは他のパート(楽器)とのバランスです。お好みの部分が大きいですが、邪魔しているなあと思われるパートを少しご遠慮いただいて全体的に気持ちいいと感じられたらOKだと思います。

矢印どんなエフェクトをどれぐらい?
 いくつも種類はありますがボーカルとして使われるのはリバーブかディレイかだと思います。端的に言えば「響く音」ですね。楽曲と声をなじませるのが大きな目的です。大きなホールにいるかのような臨場感も表現することができます。上記のイコライザーを併用したりすると効果抜群です。
 何種類かあるリバーブはどれを選んだらいいのかというと、ハッキリした決まりはありませんので声を出して聞いてみてお好みを選ぶしかないでしょう。ただその効かせ方(深さ)は大きくしないようにするのがコツです。お風呂場に入っているような効果を狙っているのなら別ですが…。パラメーターで操作します。効いてきたかなと感じたところ辺りがベストです。少し足りないかなあと思う辺りが良く、かけすぎるとかえって色あせた音色になりやすいです。またハウリングもしやすくなります。
 当社で紹介している「簡単PAセット」は全てエフェクト(リバーブなど)内蔵されていますので豊かな音色作りが可能です。